3月2日(土)
14:00~15:20 大会企画シンポジウム1 支援者と高齢者との関係性
1001大講義室
企画趣旨
心理支援者が要支援者に向き合う際には多かれ少なかれ関係性の課題が含まれます。高齢者が要支援者の際にはどのような課題があるでしょうか。現代の家族機能の衰退や崩壊、エイジズム、文化的乖離に代わるものとして、地域コミュニティ、世代間や文化交流などが挙げられます。また、多くの人が当事者としてそれとはなしに気づく気配のようなものがあります。そこには逆転移の課題もあります。
転移の考え方に基づけば、関係を構築する傾聴者にも一人の人間としての感情が生じます。また、傾聴を受け取る側にはそれに応じた感情が反映されることがあります。それは通常の交流でも生じます。そこには関係の深さ・浅さ・長さという課題もあります。支援の内容によっても異なるでしょうが、心理学的援助や心理療法といった違いや、ケアと療法の違いとして語られることもあります。支援を継続するためには、関係の性質を見極め、提供される何かのために調整されるその時々での工夫をセラピストは発動することができます。場や支援の長さや対象者によっても異なります。関係性というものの性質をわきまえておくことが支援者には不可欠であるように感じられます。高齢者臨床場面での関係性の調整の課題をこのシンポジウムでは議論のテーマといたします。
司会者 志村 ゆず(名城大学)・倉坪 和泉(国立長寿医療研究センター )
心理支援とソーシャルワーク実践 ~認知症ケアから考える~
話題提供者 下垣光(日本社会事業大学)
カナダにおける「真実と和解」運動:原住民の長老達に学ぶ
話題提供者 Yuriko Riesen (Coast Mountain College)
戦争体験を聴くこと―語る人のこころ、聴く人のこころ、そしてその間を漂うこころ―
話題提供者 林 智一(香川大学)
指定討論者 中川 威(国立長寿医療研究センター研究所 )
指定討論者 志村 ゆず(名城大学)
15:30~16:50 大会企画シンポジウム2 高齢者臨床の場で働く臨床心理士とそのコンピテンシー
1001大講義室
企画趣旨
高齢者に関わる臨床心理士・公認心理師は、レジリエンスが高く柔軟性があり常に学び続け肯定的で創造的です。コロナ禍でも動きつづけた医療現場、福祉現場、教育現場の最前線からの報告となります。本企画では、心理職の活動の場の現在を理解し、参加者の皆様が自らの業務を振り返る機会にしていただければと思います。医療の場で働く臨床心理士・公認心理師の業務には、多職種連携や他の職種を支援するための業務があります。それ以外にも個別相談、多彩な枠組み(堅牢な枠、緩い枠、枠がない、長い、短い)の交流、生活支援、講演や研修会のコーディネート、心理プログラム、レクリエーションのコーディネートなども行い業務も多彩です。関係性の構築から心理療法の技術、心理アセスメントの技能や院内の研修、地域の心理教育、学術研究を行うことがあります。こころの支援を地域に届けるアイデアの創出も多彩で、その地域の環境資源と連携しています。心理実習・心理実践演習では教育者としての体験やその意識について教えていただく予定です。
今回は、各所で活躍する臨床心理士のために準備として開拓しておく知識や技能、今後備えておきたいコンピテンシーの課題について議論します。
司会者 内藤佳津雄(日本大学)
高齢者医療の臨床心理士が行うアウトリーチ活動
話題提供者 岩田道子
(JA岐阜厚生連 岐阜・西濃医療センター 西濃厚生病院)
介護施設の臨床心理士としての体験を聴く
話題提供者 桑田直弥
(運動器ケアしまだ病院・介護老人保健施設悠々亭)
大学・大学院における老年臨床心理学の関連実習
話題提供者 小野寺敦志(国際医療福祉大学大学院)
指定討論者 鈴木亮子(椙山女学園大学)
松本真理子(名古屋大学)